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【相続】遺言書の3つの種類・遺言書の書き方について知っておこう

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こんにちは、1級ファイナンシャルプランナーのMai(@MaiHayashi7)です。

 

今回は、遺言書の3つの種類とそれぞれの書き方、メリット・デメリットについてまとめてみましたので、遺言書作成について知っておきたいという人は是非参考にしてみて下さい。

 

本記事のテーマ

【相続】遺言書の3つの種類・遺言書の書き方について知っておこう

 

1. 遺言書とは

2. 遺言書の3つの書き方【メリット・デメリット】

3. まとめ

 

それでは早速見ていきましょう。

 

1. 遺言書とは

 

遺言書とは、不動産や預貯金・株式などの財産を持っている人が亡くなった時に、財産をどのように相続するのか、または処分するのかを明確に記載しておく書類です。

 

「誰が、何を、どのくらいの割合で相続する」と指定することもできますし、逆に「相続させない」と指定することもできます。

遺言書を作成する場合、初めのステップとしてまずは預貯金や不動産などの「プラスの資産」と、借入などの「マイナスの資産」を全て明確にし、一覧表などを作って分かりやすく整理することから始めましょう。

 

また遺言書については残しておけば何でも良いという訳ではなく、書き方や作成方法については法律に基づいた厳格な定めがあります。

要件を守らずに遺言書を作成した場合、法的な効力を発揮せずに無効となってしまうこともありますので作成する場合には注意して作成するようにしましょう。

 

2. 遺言書の3つの書き方【メリット・デメリット】

 

遺言書は大きく分けて、「普通方式遺言」と「特別方式遺言」に分かれます。

 

「普通方式遺言」 … 一般的な遺言作成方法。「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があり、しっかりと時間をかけて作成していく方法。

 

「特別方式遺言」 … 命の危険がある、死が差し迫っていて普通方式で対応できない場合に用いられる。ただし、命の危機を回避し6か月後も生存している場合には、特別方式で作成した遺言は無効となる。

 

今回は、一般的な作成方法である「普通方式遺言」について解説していきます。

 

① 自筆証書遺言

「自筆証書遺言」とは、遺言者が遺言の全文・日付・名前を自筆(手書き)して作成する遺言書です。

 

これまでは、本文や財産の詳細など全ての文について自筆が義務付けられていましたが、2019年の民法改正により財産目録については自筆でなくても認められるようになりました。

例えばパソコンで目録を作成したり、通帳のコピー・登記簿謄本などの書類を添付資料として付けることが可能です。その際財産目録については、各一枚ずつに署名と押印が必要になります。

 

自筆証書遺言のメリット

・ 3つの種類の中で一番手軽な作成方法(満15歳以上で文字が書ければ誰でも作成可能)

・ 作成にあたってほとんどコストがかからない

・ 書き直しや修正が自由にできる

・ 証人は不要

 

自筆証書遺言のデメリット

・ 紛失、偽造、改ざんの恐れがある

・ 自筆できない場合は利用できない

・ 要件不備による紛争が起こりやすい

・ 家庭裁判所の検認が必要

※検認とは…家庭裁判所が遺言書の中身を確認し、遺言書の偽造等を防止するための手続き

 

「自筆証書遺言」の場合特に注意したいのが、見つけた遺言書について相続人がうっかりその場で封を開けてしまうと罰金が科せられる可能性があります。(相続人の資格が失われたり、遺言書が無効になることはありません)

遺言書の開封方法として、正式には相続人全員で家庭裁判所に遺言書を提出し、相続人全員で中身を確認する必要があります。

 

また2020年7月より、法務局での「自筆証書遺言保管制度」がスタートしました。

これにより紛失や改ざん等のリスクが軽減され、より有効に自筆証書遺言を残すことができるようになりました。

 

② 公正証書遺言

「公正証書遺言」とは、遺言者が公述した内容を基に公証役場の公証人が作成する遺言書です。

 

公正証書遺言のメリット

・ 自筆できなくても作成できる

・ 紛失、偽造、改ざんの恐れがない

・ 有効な遺言を確実に残せる

・ 原本を公証役場で保管してもらえる

・ 家庭裁判所の検認は必要なし

 

公正証書遺言のデメリット

・ 遺言書の内容を公証人・証人に公開する必要がある

・ 作成にコストがかかる

・ 修正や書き直しの場合も手続きに時間がかかる

・ 証人2人以上の立ち合いが必要

 

「自筆証書遺言」の場合は必ず自分で自筆する必要がありますが、「公正証書遺言」の場合は高齢や病気等で自筆できない場合でも作成することが可能です。

 

また原本は公証役場にて保管され検認の必要もないので、相続開始後に速やかに遺言の内容を実現することができます。

「自筆遺言証書」と比較するとメリットも多く安全な作成方法ではありますが、遺言者にとっては費用がかかることが難点でしょう。

 

③ 秘密証書遺言

「秘密証書遺言」とは、遺言者が内容を作成の上署名・押印し、公証人が日付等を記入してから封印する遺言書です。

遺言書の内容を秘密にして、存在だけを証明してもらう方法となり、自筆のみならずパソコンで打ち込んだものや代筆も可能です。

 

秘密証書遺言のメリット

・ 遺言の内容を秘密にできる

・ パソコンでの打ち込みや代筆での作成も可能

・ 公証役場に遺言書を作成した記録が残る

 

秘密証書遺言のデメリット

・紛失や発見されない恐れがある

・ 内容を秘密にするため、要件不備による紛争が起こりやすい

・ 証人2人以上の立ち合いが必要

・ 家庭裁判所の検認が必要

 

「秘密証書遺言」は、他の作成方法と違って実際にはほとんど利用されていません。

 

公証役場には遺言書を作成したという記録は残りますが、保管自体は遺言者の管理となるので紛失したり発見されない恐れがあります。

何らかの理由で遺言の内容を知られたくない場合には有効ですが、「公正証書遺言」ほどの確実性はないことを覚えておきましょう。

 

3. まとめ

 

いかがでしたか?

今回は、遺言書の種類や書き方についてざっくりとメリット・デメリットをまとめてみました。

 

遺言書の書き方には大きく3つの種類があり、一般的なのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。

自分で調べて遺言書を作成することも可能ですが、要件不備を防ぐためには専門家に相談することをおすすめします。

 

また遺言書を作成しても、それがもとで家族が揉めるようでは遺言書の意味がありません。

財産の分け方も重要ですが、遺言書には自分の意思を家族に伝えるという大きな役割がありますので、作成にあたっては前もって自分の意志や気持ちの整理をしておく必要があるでしょう。

 

※こちらの記事は、2021年1月時点での情報に基づいて執筆しております。

 

この記事を書いた人
Mai Hayashi

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)。
FPで培ったお金の知識や趣味の株式投資を始め、暮らし・子育てに関する記事も発信していきます。

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