こんにちは、1級ファイナンシャルプランナーのMai(@MaiHayashi7)です。
今日は、自然災害などで損害を受けた場合に適用できる「雑損控除」と「災害減免法」の二つの制度について解説していきます。
本記事のテーマ
【税金】被災したときに使える「雑損控除」「災害減免法」とは?
1. 「雑損控除」とは
2. 「災害減免法」とは
3. まとめ
本記事を読むことによって
この記事を読むことで、「雑損控除」「災害減免法」の内容やそれぞれの違い、適用時はどちらを選択したら良いのかを学ぶことができます。
先日、東北地方を中心に大きな地震がありましたが、日本は外国に比べて地震、台風、豪雨、大雪、火山噴火など自然災害が発生しやすい国土です。
被災した場合は、住んでいる自宅や家財に大きな損害を受けることも少なくないと思いますが、こうした災害などによる被害を受けた場合は、確定申告をして控除を受けることによって支払う税金を少なくすることができます。
これらの制度は知っているのと知らないのとでは、手元に残るお金に大きな違いが出てきます。
少し難しく感じるかもしれませんが、大まかにでも内容を理解しておきましょう。
1. 「雑損控除」とは
「雑損控除」は所得控除の一つで、地震や台風などの自然災害や、火災、盗難、横領などで自宅や家財・現金などの生活財産に損害を受けた場合に適用することができます。
簡単に言うと、雑損控除を適用することでその分収入を少なくすることができ、その結果所得金額が減るので支払う税金も少なくなります。
対象となる資産
住宅、家財、自動車、現金など(生活に必要でないものや30万円を超える貴金属、別荘や事業用資産は対象外)
対象となる損害の原因
・震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
・火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
・害虫などの生物による異常な災害
・盗難
・横領
※詐欺や恐喝は適用不可
雑損控除の金額・計算方法
まずは「差引損失額」を計算します。
差引損失額 = 損害金額 + 災害関連の支出金額 - 受取保険金等
※ 損害金額…損害を受けた時の資産の時価
※ 災害関連の支出金額…災害等に関連したやむを得ない支出で、被害を受けた住宅や家財の取壊し、撤去費用、焼跡の整理費用など
※ 受取保険金等…火災保険などから下りた保険金や、損害賠償金など
次に、控除できる金額は以下2つのうちいずれか多い方の金額となります。
・ 差引損失額 -(総所得金額 × 10%)
・ 災害関連の支出金額 - 5万円
また雑損控除の場合、その年に引ききれなかった金額については翌年以降3年間に渡って繰越し控除をすることが可能です。
※参照:国税庁「災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)」
2. 「災害減免法」とは
「災害減免法」は税額控除の一つで、災害によって損害を受けた住宅や家財の損害金額がその時価の2分の1以上で、かつ災害にあった年の合計所得金額が1,000万円以下の場合に適用することができます。
雑損控除の所得控除とは違い、こちらは税額控除のため支払う所得税から直接控除することができます。
対象となる資産
住宅、家財(損害額が時価の2分の1以上である場合)
軽減または免除される所得税の金額
所得金額の合計額 | 軽減または免除される所得税の額 |
500万円以下 | 所得税の額の全額 |
500万円を超え750万円以下 | 所得税の額の2分の1 |
750万円を超え1,000万円以下 | 所得税の額の4分の1 |
災害減免法では、その年の所得税に限り上記のように軽減または免除されます。
また雑損控除と同時に適用することは出来ず、災害によって損害が出た場合に限ります。
※参照:国税庁「災害減免法による所得税の軽減免除」
3. まとめ
いかがでしたか?
両制度とも節税のための制度ではありますが、雑損控除は所得控除なのに対し、災害減免法は税額控除になります。
これら2つの制度は同時に適用を受けることはできず、合計所得が1,000万円を超える人、もしくは災害以外の盗難や横領による損害を受けた人は、雑損控除のみの適用となります。
逆に、合計所得が1,000万円以下の人で災害による損害の場合は、「雑損控除」と「災害減免法」を比較してどちらか有利な方を選ぶのがよいでしょう。
これら2つの制度に関しては、適用を受ける場合は年末調整ではなく必ず確定申告が必要となりますので、大まかな内容と併せて必要書類についても事前に調べておくようにしましょう。
※確定申告や税務相談など、具体的な手続きに関しては税理士をご紹介することが可能です。
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